映画『しあわせへのまわり道』

映画『しあわせへのまわり道』

FACEBOOK 映画『しあわせへのまわり道』 TWITTER 映画『しあわせへのまわり道』

Background

原作のエッセイが映画『しあわせへのまわり道』として誕生するまで

 “ニューヨーカー”誌に掲載された、キャサ・ポリットのエッセイ「Learning to Drive」。本作の原作である。2002年7月に掲載されたこのエッセイには、キャサが長年のパートナーと別れてから免許を取得するために車の運転を習ったこと、それが離別の痛手から回復する助けになったことなどの実体験が、軽妙なユーモアと鋭い自己分析を交えて綴られている。

 このエッセイがプロデューサーのダナ・フリードマンの目に留まる。一般的に言って自分の慣れ親しんだ環境に安住を望むであろう年齢の女性が、まったく異なる世界に飛び出そうとしている姿に彼女自身を重ね合わせ、心を動かされたのだ。

 そして、白羽の矢が立てられたサラ・ケルノチャンの脚本は、映画会社トップのハモンド兄弟を唸らせた。「ハリウッド風の“男臭いノリ”がない、一服の清涼剤のようなもの。サラの脚本は、ひねりがあって視点が鋭く新鮮でした」と。

 やがてこの脚本への熱病ともいうべき症状に、主演のパトリシア・クラークソンや監督のイサベル・コイシェも冒されてゆく。パトリシアはかつての夫役ジェイク・ウェバーを訪ね、再び夫婦になりたいと“プロポーズ”した。ウェンディの夫であるテッドを演じてほしかったため、一役買ったのだった。イサベルに至っては、他人が執筆した脚本を監督すること自体が例外にもかかわらず、快諾した。その理由に「今回は個人的な感情をくすぐられたから」と述べている。

 このようにして、やる気と才能に満ちあふれた俳優やスタッフが強い信頼関係のもと、ひとつのチームとして結集し、観るものの共感と感動を呼ぶかけがえのない物語を生み出した。

キャサ・ポリット(KATHA POLLITT)

詩人/エッセイスト/“The Nation”誌のコラムニスト。
エッセイ集に「Virginity or Death!」「Subject to Debate」「Reasonable Creatures」がある。処女詩集「Antarctic Traveller」で全米批評家協会賞、全米雑誌賞のエッセイ・批評部門で2度の受賞に輝くなど、多数の受賞歴がある。残念ながら日本では翻訳本が出版されていない。
ニューヨーク在住。

PageTop